アラサーOLの備忘録

東京に暮らすアラサーOLです

母ががんになった2

9月11日の検査の数日後に結果が出ることになっていた。その時の自分の気持ちとしては「もしかしたら癌かも知れない」「でも見た目も声も元気そうだったしな」「癌だとしてもステージが早いものかも」「ていうか癌じゃないかも知れないし」と、最悪の状況から楽観的なものまで、気持ちが行ったり来たりしていた。

 

大病にかかった友人や近くに住む友人に「母親が癌になったかも知れないんだけど、まだよくわかんなくてさー。甲状腺?が腫れているみたい」と話して、不安を発散させていた。埼玉に住む友人カップルとは焼肉にも行った。何か行動していないと、落ち着かない。言い訳のようだが、仕事はほとんど進まなかった。

 

結局9月15日に母からLINEが来た。「お疲れ様です。ごめん、やっぱり旅行は無理みたい。甲状腺癌っぽいわ。リンパに転移したのね」「明日、○○(隣町の大きい病院)に検査に行く算段をしてもらう。本当にごめん」「お金渡すから、一人分キャンセルしてください」

 

このLINEを受け取って思ったのは、今考えれば愚かだが、長崎旅行のキャンセル料が諸々発生してしまうことへの不安だった。何ヶ月も前に「ことりっぷ」などのガイドブックを見て、ここの宿がいいね、予約取れるかな、とワクワクしながら予約したのに。

 

いや、でも癌の手術って準備するまでに時間がかかるんじゃないか?だったら1週間後の旅行も行けるんじゃない?と楽観的な気持ちで、たまに泣きながら母親に何度も聞いたが、答えはノーだった。もしも長崎で倒れるようなことがあれば、周囲に迷惑がかかるというのがその理由だった。

 

患者の立場になって考えれば至極当然のことかも知れない。しかし、その頃は自分の気持ちを母親にぶつけるだけで、母親の気持ちに寄り添えなかった。結局、諸々の手続きを経て、長崎へは友人と行くことになった。