アラサーOLの備忘録

好きな食べ物は白米です

備忘録 札幌旅行1

(2018年の話。備忘録)

 

 北海道日本ハムファイターズのファンフェスティバルの抽選に当たった。ただの当選ではなく、アリーナ席(グラウンド)の当選だ。ファイターズのファンフェスティバルはグラウンドで運動会を開くようなものなので、座れる席の差は大きい。毎年「当たるわけないし」と思って応募もしなかったが、なぜか今年は勢いで応募。忘れていた頃、当選メールが来ていた。11月初めのことだったと思う。

 

 彼氏や何人か友達を誘ってみたが、仕事や距離の関係で来れない人ばかり。1人で行く気にもなれず、メルカリでチケットを売るかというところまで来ていたが、大学のゼミ友達が「北海道で就職した子を誘ってみたら?」と言ってくれた。

 

 彼女に連絡をすると「行く行く!」とありがたい返事をもらったので、早速北海道行きの航空券を探す。11月24日(土)開催のため金曜日に前乗りするのがベストだと思ったが、勤労感謝の日(11月23日)で三連休なので価格が全然安くない!そして昼までの航空券は軒並み空席待ちになっていた。みんな考えること(三連休とれたら北海道へ飛ぶ)は一緒だなと思いつつ、トラベルコや一休を駆使して航空券とホテルを予約した。

 

 19時羽田発の便(ANA077)は予約段階ではスカスカの状態だったが、当日乗ってみると満員だった。わたしのように急遽北海道に行こうとする人がたくさんいるのだろう。金曜日に泊まるホテルはできるだけ安くあげたかったので、札幌市内ではなく新千歳空港近くで取った。

 駅からまあまあ近く、人工温泉と居酒屋があるのが魅力。新千歳空港からJR千歳駅までは電車に乗る。窓の外を見ると雪がしんしんと降っていたのでスニーカーで来たことを後悔したが、なんとか滑らずにたどり着いた。

 

 部屋はダブルルームでベッドが広いので、どう頑張っても落ちない。温泉があったので使わなかったが、バスルームもまあ普通。コーヒーサーバーとカプセルが4つ(コーヒー2、紅茶1、緑茶1)用意されており、せっかくなので全部飲んでみた。最近カプセル式のコーヒーサーバーを置く宿泊施設が多いですね。手入れが楽なのかな?

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 居酒屋は海鮮が用意されていたので楽しみにしていた。掘りごたつのカウンターでタッチパネルを使って注文する。外国人客対応だと思ったが店員が常に忙しそうなので、こういうシステムはありがたい。注文したのはゴリラ豆腐(おぼろ豆腐)、ウニ刺し、馬刺し、白子ポン酢(北海道ではたちぽんというらしい)、ししゃも、生春巻きなど。飲み物はビールと日本酒の国士無双

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    旅で気分が上がったのか、〆に海鮮丼とお茶漬け(梅)を2つも頼んでしまった。多かったなあと思いながらも完食したが、代金が7395円だったのには驚いた。アルコールが1500〜2000円程度だとしたら、完全に食べ過ぎ。こういう気の緩みで人は太るのだ。

くずし割烹 たけはな

 同期が退職した。超長時間労働とガチガチの年功序列、能力のない人材の出世などブラックな香りがする環境ではあるが、業界トップクラスの待遇の良さからか辞める人間はそう多くなかった。入社3年以内の離職率は新卒(大卒・院卒)で約3割らしいが、わたしの会社は常に1割程度。同期の多くとは会社の愚痴をこぼしつつ、定年まで仲良く働くのだろうと思っていた。

 

 ところがである。仲が良い同期は年明けにあっさり退職していた。希望に胸膨らませて入社した企業で、全く希望していない部署に配属された同士だった。大学と専攻、入社からのキャリアパスが自分とほぼ同じ彼が会社を辞めるなんて。配属された部署が同じメンバーで作られたグループLINEに「退職することになりました。お世話になりました」とメッセージが送られたのを見たとき、かなり動揺した。

 

 九段下から四谷に向かう道を歩きながら、悲しい、残念だといった感情がぽろぽろと出てくる。どうしてネガティブな感情ばかり溢れるのだろうと考えたけれど、会社を休んでいる自分が置いていかれたと感じたのかもしれない。

 

    ただ時間が経つにつれ、彼の人生なのだから自分がどうこう言っても仕方ないと思うようになった。不真面目そうで真面目な彼のことだ。会社や他人に焦点を合わせて人生を送るのは向いていない気がする。別に彼が退社してもご飯は食べに行けるし、と。

 

 だからというわけではないのだが、早速東京にいる他の同期も含めて3人で飲みに行った。ふぐが食べたいと言われたので良さそうな店を速攻で探す。休職すると良い店を探す嗅覚が上がる気がするのはどうしてだろう。暇なだけかもしれないし、誰かに必要とされるのが嬉しいからなのかもしれない。

くずし割烹 たけはな

食べログ くずし割烹 たけはな

 選んだのはくずし割烹 たけはな。最寄駅は曙橋か四谷三丁目で、荒木町の奥の方といえばわかりやすいのかもしれない。こんなところにフジテレビがあったなんて信じられないくらいの住宅地だ。華やかさのある荒木町とはちょっと違う雰囲気。

 

 店はカウンターとテーブル席が3つほど。雑然というかこじんまりというか、キラキラした感じはあまりない。前菜はなまこ。アサヒの熟撰を飲みつつ、虎ふぐの煮こごり、薄造り、唐揚げと次々に振舞われる。まさに虎ふぐのフルコースという感じ。薄造りを長嶋食いしていた同期に笑った。

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虎ふぐの頭から先まで丸々と使われていたせいか、鍋や雑炊は出汁がとってもおいしい。もちろん身や出汁を吸った豆腐、白菜もたまらない。魚なのに澄みきっている汁を飲むのは不思議な感じがした。鍋を食べてもまだまだいけそうだったので、雑炊のご飯は多めにしてもらう。ひれ酒と祝い酒(長野県のお酒。ご主人は長野県出身)を飲んだから、一人一合は飲んだことになる。退職する同期は食べ物はもちろん、ひれ酒がやけにお気に召したようだった。わたしも同じペースで飲んでいたら「全然飲めなかったのに、強くなったんだね」と驚かれた。わたしたちの他にお客さんはいなくて、お喋りが止まるとご主人とアルバイトの女の子の話がやけに響いた。それを聞きながらお酒を飲んだ。

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    この際だからと転職のこともたくさん聞いた。2年前に兄弟の就職もあり転職を考え始めていたこと、今回転職する会社とは異なる企業も最終面接まで行ったこと、エージェントに登録すると鬼電がかかってくるから転職サイトに載っていた求人に応募したこと。職場はゆったりした雰囲気で圧倒的なホワイト企業だが、給料は3分の2に減る。新卒で入った会社が嫌になったわけではないが、他社も魅力的だった、など。もう一人の同期も3年後までに転職を考えているらしく、終身雇用が遠くなったのを肌で感じる。わたしはどうしようか、と考えざるを得ない。

 

    くだらない話もたくさんした。先が見えない恋人といつまで付き合うべきか、すぐにレストランで食事をする出会い系アプリ(Dine)の進捗、ニューヨークに遊びに行くにはいくらかかるか、クラブでのドラッグの蔓延、昔に比べてちょっと膨らんだよね?(太った?の婉曲表現)。みんなお金は稼いでいるし、それなりに遊ぶけれど、本質的には変わらず真面目なままだった。だから仲の良い同期のままなのだろう。これから立場が変わってもいつでも安心して会える。

 

    ふぐコースは安くはなくて、お酒込みで1人1万2000円(!)だったけれど、また少し稼いでだら来れるよね。今度は上野か立石の安い居酒屋でも良いな。

 

ϵ( 'Θ' )϶←ふぐの絵文字が可愛い

    

死ぬまでにやりたい100のリスト

 あけましておめでとうございます。2018年は仕事を一生懸命やり、その後体調を崩し休職という自分にとっては忘れられない年になりました。夏頃までは最低の年だと思っていましたが、体調が良くなってからは友達と会ったり、旅行に行ったりと楽しい時間を過ごせました。会社との話し合いは正直憂鬱ですが(前記事参照)、なんとか復職したいとは思っています。

 

 さて、そんな中友達に教えてもらったのが「死ぬまでにしたいことリスト100」です。存在は知っていたのだけれど、実際に書き出してみるとなかなか大変で40個くらいで止まる。それでもウンウン考えていたら、なんとか100個になりました。書いたらすぐに実行できたこともあり、これは良いと思ったので備忘録としてブログにも残します。

 

1.「具体(特に吉原治良)」の作品を買う

2.クロアチアにもう一度行く

3.小説を書く

4.李禹煥リトグラフを買う

5.花を部屋に飾る

6.素敵な花瓶を買う

7.ヨガをする→18年9月から始め、今や2日に1回行く

8.北海道日本ハムファイターズの日本一を目撃する

9.恋人を悲しませない

10.高級寿司店で好きなネタを好きなだけ食べる

11.世間話ができるくらい英語を話せるようになる

12.海外で働く

13.飛行機のビジネスクラスに乗って好きなように過ごす

14.洋画の吹き替えをする

15.オープンカーを運転する

16.エゴン・シーレの作品を生で見る

17.山下達郎のコンサートに行く

18.寄付をしているチャイルドに会いに行く(セネガル

19.足が痛くならないハイヒールを履く

20.芸妓さんと遊ぶ

21.爆笑問題とおしゃべり

22.フランス料理をフルコースで食べる

23.ヘアドネーションをする

24.妹の子供とキャッチボール

25.秘湯と呼ばれる温泉に浸かる

26.草野マサムネに告白する

27.「ゴッドタン」に出演する

28.横浜・山下眼鏡店で顔に合う眼鏡を作る

29.老舗のバーでウイスキーを飲む

30.生き物を飼う(エビとか)

31.Aesopのハンドソープを買って手を洗う

32.自分で着付けをして着物をたたむ

33.バジルを育てる

34.セゾン美術館で堤清二の世界に浸る

35.演劇に出演する

36.東京都心のホテルでゆっくりエステを受ける

37.歯をホワイトニングする

38.地元の学生に「他の人と同じことをやってもご飯は食べられないんだ」と説く

39.アクセサリーの収納ケースを買う

40.肩こりを解消する

41.トルコに行く

42.ブログを書く→18年9月開始。更新頻度を高めたい。

43.アートオークションに参加する

44.爆笑問題カーボーイでメールを読まれる

45.眠れるソファーを買う

46.東京五輪で競技を観戦する

47.アウシュビッツ収容所で人類のことを考える

48.金髪にする

49.佐渡島でたらい舟に乗る

50.両親にマンションを買う

51.友達の結婚式で泣く→18年8月に大学のクラスメートが結婚。めでたい

52.四谷のおでん屋さんに行く

53.Boseのスピーカーを買う

54.屋形船に乗ってお酒を飲む

55.老舗ホテルに家族と泊まる

56.作詞をして歌手に提供する

57.人を招いて料理を振る舞う→カレー作った。もっと高みを目指したい

58.疲れている後輩に「休んでも何の問題もない」と伝える

59.銀座の生カラオケで歌う

60.京都の舟屋を見る

61.大分・別府で地獄蒸しを食べる

62.10キロマラソンを完走

63.コスプレをして写真を撮る

64.祖父に戦争のことを聞く

65.ブロードウェーでミュージカルを観る

66.両親に色々あったけどありがとうと伝える

67.寺で座禅をする

68.47都道府県に行く

69.メジャーリーグの試合を観る

70.自分でアート作品を作る

71.お気に入りのコートを手にいれる

72.マツコ・デラックスに「あんた頑張んなさいよ」と言われる

73.山里亮太とお酒を飲む

74.広島と長崎で平和について考える

75.長崎で潜伏キリシタンに思いを馳せる

76.韓国語で政治経済まで話せるようになる

77.英語取得へフィリピンへ短期留学

78.ニューヨーク近代美術館に行く

79.ホームレス支援団体に物資を送る

80.決算資料を読めるようにする

81.好きな人と仲良く暮らす

82.子供を育てる

83.ゲイバーでお酒を飲む

84.野菜料理を5種類作る

85.体重55キロをキープ

86.30㎡以上の部屋に住む

87.ジャズバーに行く

88.ウユニ塩湖に行く

89.ホステスかバーのママになる

90.鶏をしめる

91.アレルギー検査をする

92.仕事をして人に感謝される

93.ダイアモンドのネックレスを買う

94.ヴァンクリーフ&アーペルアルハンブラを買う

95.究極のラブレターを書く

96.気に入ったお猪口で日本酒を飲む

97.アフターヌーンティーに行く

98.部屋の物を減らし静謐な雰囲気にする

99.体にあった下着を買う

100.バンジージャンプする

 

 18年は4つ達成!買うことや旅が多いな〜〜。お金稼がないとね。今年も少しずつ達成できるように頑張ります。

上司との面談1

 月曜日、13時から職場の上司との面談をした。食べることは大好きだが、休職中にオフィス街にある定食屋の個室に行くのは気が重い。同僚はこの時間も働いているし、実際帰り道には他部署の先輩とすれ違った。決して楽しくはない面談だ。

 

 私が席に着いてから少し遅れて上司が入店する。「元気にしてる?」「ええ、まあ」。それ以外どう返せばいいのだという質問で面談は始まる。

 

 メールで医師からの診断書が欲しいと言われていたので手渡した。11月、12月と非常に調子がよく、復帰する気も満々だった。そのため医師からは「3月まで休職して4月からの復帰を勧める」というような書類をもらっていた。しかし上司は「これじゃあ分かんないよ〜」と言ってきた。え、どういうこと?「じゃあどうしたら良いんですか」と聞くと「俺も分かんないよ、こんなこと初めてだし」と返ってきた。え、わたしも初めてなんですけど。

 

 混乱しながら書いたメモを見返すと「もどりたいんですけど、先生がOKであれば」と書かれていた。上司が言ったことをそのまま書いたと思うが、この程度の内容なら既に診断書に書かれている。もう一度あやふやな内容のために診断書を取りに行けってか。無理なんですけどーー。

裁判傍聴に行ってみた4

 寺内被告の弁護士はでっぷりとしたおじさんだった。似顔絵を何度も書こうとしたが、顎肉が上手に描けずイケメンになってしまった。西田氏への質問は当然のことながら検察官のそれとは異なり、ピリピリとしたものになった。

弁護士「あなたは被害者が外に出た翌日ももう一度外出しようとしたことを知っているんですか」

西田氏「いや、だから」

弁護士「知っているか知らないかを聞いているんです!」

わたしが残したメモにも「弁護士と証人ヒートアップ」と書かれている。それくらいやりとりが激しくなって、こんな人たちが普段周りにいたらさぞ面倒だろうなあと感じるくらいだった。f:id:ventodelsud:20181119233418j:image

 

 被害者はどんな性格かと問われ「おとなしい、用心深い」と西田氏は答える。

弁護士「では用心深い被害者が『ちょっといいですか』と被害者が近所の人に聞くのは不自然じゃないですか」

西田氏「なぜでしょうか」

弁護士「被害者が本当に恐怖を感じていたら『助けてください』と叫んでいてもおかしくはない。身の危険を感じなかったからそういう声かけになったのでは」

西田氏「そうではないです。被告人のマインドコントロールは理にかなったことをやっている。行動による服従と心の服従は違いますが、行動による服従の方がずっと簡単です。用心深い性格だったからこそ、今の状況を知ろうとして『ちょっといいですか』という声かけになった」

弁護士「でも被害者は手紙を出していますよね。服従ではないのではないですか。被告人によるマインドコントロールが稚拙だったのでは」

西田氏「稚拙とは思いません。外に出ていても、部屋に戻っています」

 

 ここまでで約1時間。疲れを感じていると「もうないですか」と裁判長が確認する。次回は相互弁論ですが、書類提出により短時間で終わるらしい。「寺内さん、次回は12月21日(金)午前11:30から429号法廷です」と裁判長に説明された寺内被告は小さな声で「はい」と答えた。裁判長は聞こえなかったのか「寺内さん、わかりましたか」と再び尋ねる。「わかりました」。冷静な声だった。そこまで聞いて、傍聴人は退廷を促された。

 

 裁判所を後にしながら、わたしが育った地域で起こった誘拐・監禁事件のことを思った。その事件では少女が10年弱監禁されていたにも関わらず、犯人への実刑判決は懲役14年だった。自由を奪われた小学生の10年と、刑務所の中の受刑者の14年。10年監禁していても14年すれば社会に出てこれるのだと、子どもの頃のわたしは驚き、怯えたものだ。それと似たようなことが再び起ころうとしている。

 

 今年は死刑という刑罰に光が当たった年だったけれど、どれだけ他人の人生を台無しにしても、人を殺さない限りは死刑どころか無期懲役にもならないのだ。10年やそこらで出所できるのだ。そして刑務所で人格が矯正されるかはわからない。裁判傍聴自体は興味深いものだったが、考えることが多くてクタクタに疲れた。

 

印象に残ったこと

・傍聴は入廷したらすぐ始まる。説明などは特にない

・今回は1時間で終了。休憩なし(ただし長時間のものは別らしい)

・被害者の名前は出さないように言われる。Googleが被害者名を永遠に残すのはどうなんでしょう

・結構出入りが多く、ドアがバタンバタンとうるさかった

 

裁判傍聴に行ってみた3

 被告人が入廷した。両手は縄で後ろ手に縛られ、手錠がかけられている。お縄にかかるという言葉はあるが、裁判所でその存在を実感することになるとは。手錠もテレビではモザイクがかけられることが多いので、この目で初めて見た。銀色で冷たく、しっかりと重みのありそうな手錠が生々しい。

 

 想像通り、入廷してきたのは埼玉県で少女を誘拐し、自宅で監禁した罪に問われている寺内樺風被告だった。黒無地のスーツで髪は短く切りそろえられ、中肉中背。背はそれほど高くはない。肌は白く、逮捕された時の写真とは印象がだいぶ異なる。以前は清潔感がなく、得体の知れない気持ち悪さを感じたが、自分の5m先にいた寺内被告は丸の内にいる20代の会社員と見た目は変わらないように見えた。以前の裁判では不規則発言で退廷させられたこともあったが、今日はそんなことを始める様子はない。(顔写真、事件の概要は以下の記事参照)

www.asahi.com

 

 東京高裁での第2回控訴審検察側の証人として社会心理学者の西田公昭氏が出廷。検察官が「専門家の立場から」と話していたので学者か医者だとは理解していたが、まさかオウム真理教関連の裁判でもよく名前を拝見する先生だとは。ちょっと感動した。

 

 心理学の専門家で多くの裁判に召喚されているとはいえ、少しでも西田氏をリラックスさせようと検察官がやけに微笑みながら質問をしていたのが印象的だった。ニコニコとしていて、場所さえ違えば接客業のようだ。しかし、その目的が裁判官にもわかるような言葉を専門家から引き出させることなので「あえて笑顔をつくるのも作戦のうちなんだな」と感心してしまう。西田氏は明るく、慣れているのかそんなに緊張していない様子だった。

 

 検察官「さいたま地裁の判決に違和感を感じる部分はありますか(ニコッ」

 西田氏「あります。『逃げられるという環境が認知できるときがあった』とありますが、自由意志で逃げられるかといえば実際は違う。心理コントロールが効いている状態です」

 西田氏によれば、心理コントロール(操作)が効いている状態というのはこの事件の場合①情報を断つ②円満な対人関係を断つ③メッセージを植え付けることを指す。③については誘拐後「親は君を捨てた。臓器売買の危険から、自分が保護してやる」と虚偽の説明をしたことをいう。少女は音声合成ソフトで作られた音声で臓器売買について繰り返し聞かされた。「不気味なものだった、と聞いています」(西田氏)。そして「私は捨てられた」と何度も書かされた。

 

 こうして両親に対する信頼感を徐々に減らしていった。すると「この人(寺内被告)に頼らなければいけない」という心の揺らぎが生じてくる。この事件では少女が発見される前に外に出ていたことがあって、そのとき「助けて!」ではなく「ちょっとすみません」と近くにいた人に声をかけていたことがあった。これがさいたま地裁の判決の「逃げられるという環境が認知できる」という部分に当たるのだろうが、これは情報を遮断された人間が自分の置かれた状況を確認したい=すみませんと声をかけることは自然なことだと西田氏は指摘する。彼女は勇気を振り絞って通行人に声をかけた、決して自由な環境があって出た「ちょっとすみません」ではなかったと。

 

 不幸なことに通行人で彼女の声に耳を傾ける人はいなかった。それは平日の昼間に部屋着の中学生が公園にいるという異様さが要因かも知れない。だが、その環境も被告がつくりだしたもので、それが彼女の行動に反映された。監禁が2年の長期にも及んだ最大の原因は被告人の心理操作により、彼女が「帰る場所がない」と思わされたことだと西田氏は説明した。(続く)

 

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 メモを書いてみた。傍聴人の中でメモを取る人は半分くらい。 

 

 

 

 

裁判傍聴に行ってみた2

 霞ヶ関に行くのは久しぶりだった。仕事で仕方なく訪れていた街だが、ぶらぶら歩いて面白い場所では決してない。それでも地下鉄の駅から地上に向かえば落ち葉が舞い、それなりに秋の形になっている。裁判所の前で声を張り上げている人たちも、ダンボールに書かれた力強いメッセージも、いつもの光景だ。テレビカメラも何台かあり、やはりあの事件の裁判があるのだと確信を深めて裁判所の敷地に入る。

 

 さて傍聴券が配られる3番交付所なる場所はどこだろう、と辺りを見回すと職員が「刑事部の傍聴券抽選はこちらです」と教えてくれた。官公庁の職員にしてはずいぶん親切だ。ありがたく抽選券をもらって列に並ぶ。

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 14時到着で整理券番号は30番。並んでいる人は大学生が多く、会社員や主婦らしき人もいる。事件の内容にもよるだろうが、想像以上に女性が多い。裁判ウォッチャーの芸人、阿曽山大噴火さんや著名ブロガーも並んでいた。いつから写真が撮れなくなるのか不安だったので、とりあえず整理券だけ撮影した。

 

 「傍聴席43席、整理券は66枚ですので抽選になります」という職員のかけ声の後に当選番号が貼り出される。全く食事をとらないまま家を出てきたので、外れたら近くの回転寿司屋でも行こうかと食べログを検索しつつ掲示板を見たら、30番があった。当選だ。寿司は遠のいたが、当初の目的は達成できそうだ。

 

 空港よりもゆるくて優しい手荷物検査を受けて、館内に入る。どうしても何か飲みたくなって、自販機を探したら90円のお茶があったので購入。お茶を飲みつつ、阿曽山さんを発見する。ラジオでしか声を聞いたことがないけれど、本当に存在するんだな。

 

 開廷時間が近づいてきたので、エレベーターで8階に向かった。リノベーションに毛が生えた程度の補修工事はなされているが、建物も設備も古さが隠せていない。裁判所に割り当てられる予算の少なさを思う。

 

 部屋の前ではまたゆるい手荷物検査。荷物の番号札を受け取った後は金属探知機での身体検査がある。「鳴ったらごめんなさい」と係員に言われたが、たしかに刃物など持っていなくても鳴った。でもすぐに通してくれたから、それほど重要視されていないのだろう。

 

 部屋の前に並ばされた後、順番に部屋に入る。1番前が最も人気があるわけではないらしく、真ん中から後ろに座る人が多い。それなら1番前に座ってやろうかと思ったが関係者席だったので、その後ろの2列目に座った。入口のすぐ近くだ。隣は80歳くらいのおじいちゃん。警備員もすぐ近くにいて、緊張感が増してくる。(続く)