アラサーOLの備忘録

東京に暮らすアラサーOLです

富山への旅4

(続き)

CREA2017年2月号 楽しいひとり温泉

CREA2017年2月号 楽しいひとり温泉

 

買ったことをすっかり忘れていたCREAを熟読して宿を決めた。

本当は行ったことのない中国・四国地方の温泉にでも行こうかと思ったけれど、

何かあってもすぐに帰ってこれて、

ひとり初心者でも大丈夫そうな宿を探したら富山にあったのだ。

富山のリゾートホテル「リバーリトリート雅樂倶」| 川のほとり、アートの宿。富山空港より車で20分

 

美術館からホテルの手配してくれたタクシーに乗って宿に向かった。

途中、神通川やその近くのパターゴルフ場?、富山空港が見えた。

「川が氾濫したときにこの空港は大丈夫なのか」と思うくらい、川と空港が近い。

同じような風景が続いたせいか、車内でこの日初めて眠った。

 

運転手に声をかけられたときにはもう宿の人が待ってくれていて、

高級感のある扉とともに出迎えられた。わたしには少し早すぎたかな、と思わせる色。

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館内に入ってみると、なるほどメディアで伝えられる通り美術館のような作りだった。

目の前に広がる神通峡も美しすぎて息を飲む。これは写真じゃなくて現実なのか。

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案内された部屋も広く小綺麗で、ひとりで来たことを後悔するレベル。 

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部屋に流れていたNorah Jonesの歌声を聴きつつ、

たっぷりとした水を持つ峡谷ときらきら

光る緑をぼんやり眺めていた。

 

(つづく)

 

富山への旅3

(続き)

富山県美術館が気になったのは設立された経緯やコレクションの内容よりも

「世界一美しいスターバックス」の近くにあるというのが本当のところだ。

コーヒーにはなんの思い入れもないが、世界一と名のつくものは見てみたい。

その途中で美術館でも寄ればいいかと思っていたけれど、

結果的にはスタバよりも美術館の方が断然心に残った。

 

まず企画展が面白い。

「ポスタートリエンナーレトヤマ」は

世界(というには地域に差があるけれど)から最新のポスターが集まっていて、

老若男女があれが好きこれは気持ち悪いと言いながら観ているのが良かった。

高尚な会話をしている人たちを見るよりよっぽど好感が持てる。

ポスターって美術館で展示する意味あるのかな、とか

東アジアの勢いがすごくて日本のデザイナーもっと頑張れとか、

考えたことはたくさんあったけれど、大量のポスターは観るだけでも楽しい。

 

それからコレクション。ミロやらポロックやらがごろごろ置かれていて、

「ここは本当に地方の、公立の美術館なのか」と驚いてしまう。

地元にこれといった美術館がない自分にとってはうらやましい限り。

県の努力と美術に興味のある資産家がたくさんいたからかなあと想像する。

 

瀧口修造富山県出身なんですね)コレクションも良かったし、

椅子の収集も家具好きの人にとってはたまらないだろう。

それ自体が美しい建物は建築家・内藤廣さんの設計で、

美術や建築に詳しい人はみんなそのことを知っていた。

わたしは素人なので「土地があるからこんなに贅沢な作りなのか・・・」

としか思わなかったけれど。(天井が高いのです)

 

屋上には子供が遊べる広場があって、富山の雄大な山々が見守っているようだった。

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絶対子供を持っている人に勧めよう。

と思いつつ、興味は屋上よりも館内の食堂へ。

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でも、なんで富山でたいめいけんなんだろう。

オムライスおいしいけどさ。

 

世界一美しいスタバは天気が悪いのか、わたしの感性が鈍っているのか、

どうやったら美しく見えるのか構図を考えてしまった。

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下手な写真がますます世界一をダメにする。

 

(つづく)

 

 

富山への旅2

(続き)

結局一睡もできないまま羽田空港に向かった。ターミナル駅から30分はかかるバスの中でも全く眠れなかった。

「こんなことなら早いうちに睡眠導入剤(2種類)飲んでおけばよかったな。もう一便遅い飛行機(11時着)にすればよかったな。そもそも富山なら新幹線で行けるのに、なんで飛行機なんて選んじゃったんだろう」。この旅を後悔する言葉が次から次へと出てくる。

 

後ろ向きなときに限って、予定はスムーズに進むものだ。8時出発なのに7時前に到着してしまった私は「おにぎり食べたい」と農耕民族的なことを考えて、第二ターミナルをウロウロしていた。そこにあったのが立ち食い寿司。

https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131504/13160418/

「旅に行くんだし、ちょっと豪勢に!」と意味不明なことを考えて、おまかせにぎり(1080円)を頼んだ。味は普通なのだが、1週間前に銀座で中国に赴任する先輩と寿司を食べた後だけにどうしても比べてしまう。そもそもこれから行くのは寿司が美味しそうな富山だし。

 

やや閑散とした空港でぼんやりした後、飛行機に乗った。これで少しは眠れるかなと思ったが、機内誌「翼の王国」で吉田修一のエッセイを読んで、うとうとしていたら富山空港に到着していた。所要時間50分。近。

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 旅の目的がないと美術館に向かうタチなので、とりあえずバスで街の中心部に出てみた。目に入ってくる景色は私が思う日本の原風景、もといロードサイド。山内マリコもこんな風景をみて育ったのかなとひとりごちる。途中で富山城址公園や百貨店「大和」の店舗が見えたが、あまり興味をそそられなかった。路面電車を見たときは「富山にいるんだなあ」と思ったのだけれど。

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バスには結構な人が乗っていたはずなのに、私が駅前で降りるときには魔法のようにみんないなくなっていた。

 

(つづく)

 

 

 

富山への旅1

「富山って観るところあるの?」

東京・森下の焼肉屋「静龍苑」で名物のタン塩にがっついていた私は会社の先輩にこう聞かれ、答えに窮した。

 

会社を休職してから約3ヶ月。

そろそろ本を読んだり(最近まで文字の意味を認識するのが難しかった)

動かなくてはいけないと考えた私は、一人で行ったことのない場所に行こうと決めた。

 

一人旅をしたことがないわけではない。

入社3年目の頃は海外に一人で行ったし、出張は旅に入らないだろうが結構頻繁にしていた。

でもこれが国内一人旅でうつ病を抱えていたら。難易度は増すのである。

カウンセラーは「行こうと思える精神状態になったのがすごい!」と背中を押してくれたが、不安なところもあった。

 

富山について何も知らないのだ。

ANAのマイルが切れそうだからという理由で選ばれた場所で(往復12000マイル)、

いったい自分は何をすれば良いのだろう。

宿は素敵だと噂のところだが、チェックインまでかなり時間がある。

それまでに何をしたら楽しいんだろう。

悶々と考えていたが、結局朝方まで寝付けなかった。

 

(つづく)