アラサーOLの備忘録

東京に暮らすアラサーOLです

それからの母

年末に実家に帰って最も驚いたのが、母の声がガラガラになっていたことだった。甲状腺がんの手術をしたのだから当たり前だが、元々が澄んだソプラノだったので余計にびっくりした。事前に父から「ハスキーな声になったよ」と教えられていたのだが、彼なりの優しいたとえだったのだろう。わたしにとってはハスキーどころの騒ぎではなかった。

 

それでも時間が経てば徐々に慣れてくるものだ。声を失う可能性もあった中で、何とかしゃべれている。医学の発展と執刀医に感謝しなくてはいけない。

 

母は口から物を食べられず、4kg痩せてしまったらしい。うらやましい反面、病気で痩せるのは辛いだろうと思う。食べる練習をしなくてはいけないのだが、3mmくらいにつぶした小さな里芋や肉を口に運ぶだけでゴホゴホとむせてしまう。何も食べずにむせてしまう時もある。その時の様子を見るのがとてもつらかった。

 

実家にいる間は大雪のせいもあり、ほとんど家にいた。完全な寝正月だった。鍋や寿司、刺身と豪華な食事でもてなされ、家族が消費しきれない缶ビールを何本か飲んだ。

 

目下の悩みは実家近くに母親向けのリハビリ施設がないこと。自分の病状についてプロと話せないのは、とてもつらい。行政のホームページなどを見ても、わからないことが多い。本当なら行政に電話の1本でも入れたいところだが、それはきっと母がやるべきことなのだろう。

 

わたしは複雑な思いを抱えながら、東京で仕事をづづけている。