アラサーOLの備忘録

東京に暮らすアラサーOLです

母ががんになった5

11月の初め、母は手術のために病院に入院した。新型コロナのためか、手術の前の日にやっと入院できたようだった。「緊張して寝られなかった」というLINEを眺めながら、わたしは数日前に受けた会社の健康診断を思い出していた。

 

採血やレントゲン検査を受け、最後が医者の問診だった。その問診の終わりに首にしこりがないか直接触られて確認された。「コロナがなかったら母親もこんな風に健康診断を受けて、そのときにしこりが発見されたんじゃないか。そうだったら手術なんて受けずに済んだかも知れないのに」と思ったが、もう遅い。現実に母は手術を受けようとしている。

 

手術日当日に入っていた会議や仕事は、いい具合に手術のことを忘れさせてくれた。あまりにも連絡が来ないので「もしかして失敗?」と不安に思ったりもしたが、だったら慌てて連絡が来るだろうと自分に言い聞かせた。

 

「11時から始まった手術が17時に無事終わった」と父からメールが来たときは心底ほっとした。チャラそうだと思っていた執刀医に感謝の気持ちでいっぱいだった。母は何とかなったんだ、もう大丈夫なんだと思っていた。