裁判傍聴に行ってみた2
霞ヶ関に行くのは久しぶりだった。仕事で仕方なく訪れていた街だが、ぶらぶら歩いて面白い場所では決してない。それでも地下鉄の駅から地上に向かえば落ち葉が舞い、それなりに秋の形になっている。裁判所の前で声を張り上げている人たちも、ダンボールに書かれた力強いメッセージも、いつもの光景だ。テレビカメラも何台かあり、やはりあの事件の裁判があるのだと確信を深めて裁判所の敷地に入る。
さて傍聴券が配られる3番交付所なる場所はどこだろう、と辺りを見回すと職員が「刑事部の傍聴券抽選はこちらです」と教えてくれた。官公庁の職員にしてはずいぶん親切だ。ありがたく抽選券をもらって列に並ぶ。
14時到着で整理券番号は30番。並んでいる人は大学生が多く、会社員や主婦らしき人もいる。事件の内容にもよるだろうが、想像以上に女性が多い。裁判ウォッチャーの芸人、阿曽山大噴火さんや著名ブロガーも並んでいた。いつから写真が撮れなくなるのか不安だったので、とりあえず整理券だけ撮影した。
「傍聴席43席、整理券は66枚ですので抽選になります」という職員のかけ声の後に当選番号が貼り出される。全く食事をとらないまま家を出てきたので、外れたら近くの回転寿司屋でも行こうかと食べログを検索しつつ掲示板を見たら、30番があった。当選だ。寿司は遠のいたが、当初の目的は達成できそうだ。
空港よりもゆるくて優しい手荷物検査を受けて、館内に入る。どうしても何か飲みたくなって、自販機を探したら90円のお茶があったので購入。お茶を飲みつつ、阿曽山さんを発見する。ラジオでしか声を聞いたことがないけれど、本当に存在するんだな。
寺内樺風被告人の第2回控訴審の傍聴券抽選@東京高裁。傍聴券43枚に対し、傍聴希望者が66人。前回よりちょっと人気になってるな。結果はハズレ。これを傍聴出来ないとなると、明日のラジオは何の話にするか…。
— 阿曽山大噴火 (@asozan_daifunka) 2018年11月7日
開廷時間が近づいてきたので、エレベーターで8階に向かった。リノベーションに毛が生えた程度の補修工事はなされているが、建物も設備も古さが隠せていない。裁判所に割り当てられる予算の少なさを思う。
部屋の前ではまたゆるい手荷物検査。荷物の番号札を受け取った後は金属探知機での身体検査がある。「鳴ったらごめんなさい」と係員に言われたが、たしかに刃物など持っていなくても鳴った。でもすぐに通してくれたから、それほど重要視されていないのだろう。
部屋の前に並ばされた後、順番に部屋に入る。1番前が最も人気があるわけではないらしく、真ん中から後ろに座る人が多い。それなら1番前に座ってやろうかと思ったが関係者席だったので、その後ろの2列目に座った。入口のすぐ近くだ。隣は80歳くらいのおじいちゃん。警備員もすぐ近くにいて、緊張感が増してくる。(続く)